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  • 序文

2009年03月22日

宇宙の資本的価値について

 今回は宇宙の「商品的価値」について考えてみようと思います。いまのところ、つい40年ほど前は宇宙とは小規模な実験と言う分野のみに限られた価値でしたが、今となっては地球の資源探査から通信中継、さらには現在地把握などの分野で飛躍的な恩恵をもたらしています。
 ですがここでは今はまだ潜在的価値である分野に的を絞ってみようと思います。

 ①材料資源
 太陽に最も近い惑星であり、地球の半径と比べると半分の半径しか持たない水星ですが、密度は地球に匹敵しています。これにより水星には鉄などの金属が多く含まれるであろうと考えられています。
 重工業プラントを建造し、この地下資源を宇宙での生産に当てることで水星は鉱山惑星として価値を持つでしょう。
 それにはまず太陽の熱を避けるために水星の影に収まるよう軌道を調整した工場か、地下に断熱処理を施した空洞を作り、そこから宇宙に向かってロケットを発射すると言うシステムが必要になると考えます。

 ②エネルギー資源
 太陽系には驚くほどのエネルギー資源が眠っています。
 まず土星の衛星であるタイタンでは濃密な大気が存在しており、大気組成的には窒素が大部分とされていますがいくらかメタンも確認されています。
 そして木星の衛星であるガリレオ衛星郡、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストのうちイオ以外の3衛星には水が存在しており、これを電気分解すれば水素が得られます。
 ここでもし核融合炉が開発されたとするならば、木星衛星郡から上質の水素が性能を押さえた宇宙ロケットでも運ぶことができるためにその価値は大きいでしょう。
 その点でも地球の月は核融合に必要な物質が太陽風にさらされて堆積していると考えられているので、近場の月より核融合反応物質を取り出し、それによって宇宙船の動力を得、その宇宙船をタンカーとして木星まで進ませることが可能でしょう。
 地球でも海がありますが、衛星に比べると重力が強いために手軽に宇宙まで物資を運び込むわけにもいかないでしょう。
 太陽熱も魅力のあるエネルギー源です。太陽光を集めて水を沸かして蒸気機関のように使ったり、太陽風を捕まえるように帆をはった太陽ヨットも燃料のいらない宇宙船として利用できます。もっともそれは中世の帆船のように太陽を受けなければ方向転換ができないという点もあります。

 ③生命活動資源
 上記にあるように宇宙には水が存在しています。ですが手っ取り早く採取できる大気があれば宇宙殖民は有利に運ぶでしょう。
 地球から2酸化炭素を運んで酸素や、有機肥料などに使う炭素を作ることも考えることができますが、大気が濃密と言う点では金星が候補に上がります。
 金星の2酸化炭素は温室効果を作り出して金星に熱をこもらせいています。
 金星大気の大部分は2酸化炭素であり、地球の大気の主成分は窒素です。
 つまり、金星大気のほうが2酸化炭素を採取するのには都合がいいということになるでしょう。
 金星の大気、ガリレオ衛星郡の水を利用し、宅地を開拓するインフラを整備してみると宇宙開発もにぎわうかもしれません。
 金星と木星の間には火星が存在しており、ここに大気と水を輸入して徐々に人間の活動領域を広げてみるのはいかがでしょうか。

 現在のところ、ガリレオ衛星郡は地球より1年ほどの旅を要する距離を持ち、人類はいまだに月すらも開拓することができません。
 古来、人類は商業により版図を広げようとしてきました。ですがそれはあくまでも侵略と言う手段と略奪と言う目的により行われてきた行為であり、実際の開拓には新天地への期待と自立へむけた生産という2つの根幹がなければできないものでしょう。
 シルクロードや大航海での胡椒運搬ルートは他文明との接触を行わせましたがあくまでも新天地への移住と言う目的ではありませんでした。
 
 宇宙でも商業利用においての開発は憂き目を見て挫折する可能性があります。ロケットの打ち上げから宇宙入植地建造まで、それはお金での見返りを求めるのは困難なものだからです。
 人類が開拓を行うには資本を超えた目的がなければならないのではないでしょうか。市民での見地で見ればお金で生活を立てるのは当たり前であり、今でも生活ができるわけですので宇宙開発ができる能力があってもわざわざ大きなお金を使ってそれを実行しようと思わないでしょう。

 宇宙開発の目的は現在に至っても棚上げにされたままです。

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