人類がいまのところ所持している宇宙船のうちで再使用を前提に設計されているのはSTS、つまりアメリカのスペースシャトルかソビエトのブランのみです。
ほかにはいくつもの計画案がありますがほとんど実用化が見込まれていないものです。
そしていまだに宇宙までの航路は莫大な費用がかかります。そのうえにその費用で利益などほとんど出ないと見積もられています。現にロシアはブランを放棄してしまい、宇宙ビジネスを50年も前の設計であるソユーズに依存している有様です。
なぜ宇宙往還機はうまくいかず、使い捨てロケットのみが改良されていくのでしょうか。
まず宇宙往還機の形状から確認していきますと、まず大気圏内を航行するために使う大きな翼、燃料を収める巨大な外付けタンク、地球引力を脱出させるのに必要不可欠なブースターロケットです。
これらとくらべ、通常のロケットは先端がすぼまっているほぼ円筒形であり、それらを分離投棄していくことで宇宙まで物を運び込みます。要は自らを削り落としながら宇宙に進んでいるのです。
ですが典型的な宇宙往還機の形状には宇宙にいくには致命的にもなりえる設計であったといえるようです。
まず宇宙ではまったく使用できない翼ですが、これは出発時でも使用ができません。現用の宇宙往還機は垂直に上昇するので翼による揚力が発生できないのです。さらに垂直上昇では風にあおられる危険性をはらんでいるために翼は不要ですらなく逆に宇宙までの航行を邪魔しているといえます。
外付けタンクでも、宇宙往還機の肝といえる防熱タイルが張られている底面に接続口が設けられているために大気圏突入時の防熱や突入時に発生する高熱のプラズマから防護することが難しくなっていくのです。そして打ち上げ時ではその接合部から燃料を注入するシステムを採用しているために途中でここが破損すれば宇宙往還機は燃料がなくなって宇宙まで飛び出せなくなります。さらにブースターの噴出す噴射炎に接合部からもれた燃料が引火することもありえるのです。
そしてロケットブースターも構造が簡易な固体燃料エンジンであり、燃料がいったん燃えれば燃え尽きるまで噴射がとまりません。ですがもっと恐ろしいのは発射時に予定よりはるかに早く宇宙往還機から外れたロケットブースターが出る場合です。ロケットブースターが噴射炎を宇宙往還機に向けてしまった場合、宇宙往還機にそれを防護できる箇所はまずありません。唯一の防熱機構も底面で外部燃料タンクが隠している形なので熱には脆弱な箇所だらけなのです。
それに比べれば使い捨てロケットには上記の不安はあまり考えられません。推力のみで上昇するロケットは本体が帰還する必要性がないため翼を持たず、また構造的にも燃料タンクは胴体の中でありブースターもつくときはありますが通常の設計ではロケットは下部構造物にロケット機関がおかれています。
ではなぜ無理をして宇宙往還機が作り出されたかというと、結局は打ち上げ経費の面の解決であり、使い捨てで打ち上げるより何度も使いまわせられるならば建造費と維持費で宇宙への費用が納まることになり、使い捨てのように一つ一つ作っていくよりは安めになると考えられたためです。
ですが、こんにちの100円ショップをみてみると、かなりの数の商品が使い捨てになっており、かって使ってすてるという循環を前提にして商品が考えられているのです。つまりロケットでも製造費用や打ち上げ費用が安く上がるならば使いまわさなくとも採算が取れるわけです。
使いまわさなければいけない理由としても、まず製造単価が高く提示費が比較的製造単価よりはるかに安めに収まること、製造期間がとても長くなるので代えが使用者へすぐ準備できないこと、希少であること、などがありますが、ロシアのソユーズ宇宙船などは大量生産による値段の下落に成功できており、さらに打ち上げ回数をこなしてそれを基にした改修も手伝い信頼性も高いとされています。
それではすべての宇宙船は使い捨てロケットとして開発に専念すればいいのでしょうか。
そうではありません。使い捨てロケットにはできないであろう任務も宇宙開発では含まれています。
それは「軌道浮遊物の回収」と地球帰還の確実性」の2つであります。
それはまたのちに話す機会があるとおもいます
自己流子育て哲学